2014/07/28

【基礎概論】撮影時のストレージについて その1

 ここ最近、色々思うことがありまして、ちょっと基礎知識的なお話をまとめていこうかなと。
分かる人には何を今更、って内容ですが、自分への戒めと、後進のためにも。

 今日のお話は、ストレージの話。

 自分が主なフィールドとする映画、ドラマ、PVは長らく35mmや16mm、時には8mmフイルムで撮影されて来ました。ここではフイルムへの想いや画質やルック的な話はさておき、機材面というか予算面のお話。

 ネガフイルムで撮影されている時は、マスターはそのネガ。
デジタルになったとはいえ、HDCAMや、HDVなどなどで収録されている間はテープがあり、それがマスターでした。

 現状のファイルベースは、AVCHDやXDCAMなどから、RED系やBMCCのように、デジタル現像が必要なもの、様々ありますが、マスターデータはメモリーカードに記録され、その後、なにかのストレージにコピーしたら、メモリーカードの中から消去してしまうことがほとんどです。AVCHDのように低価格のSDカードで済む場合は、撮影の都度メディアを購入して、テープのように保管してもいいかもしれませんが、レンタル機材の率が増える高額なカメラの場合、専用の撮影メディアもあわせてレンタルすることが多いのでは。

 では、マスターデータの保管を考えた際に今までと同じ考え方のストレージの選択で良いのでしょうか?

 HDDはとても脆弱なものです。ひとつのハードディスクには何枚ものプラッタと言われるディスクが入っていて高速に回転しながらヘッドが読み書きしています。振動にも熱にも弱く、また、電源や基盤自体の故障や経年劣化も激しいです。
マスターが別メディアであれば、作業中のデータの保管だけを考えればよく、また、何かあっても、最悪素材に立ち返ることが出来ました。

 形としてのマスターメディアがない現状、安全性を高めるにはどうするか、壊れないHDDを用意するにこしたことはありませんが、現実問題として絶対に壊れないHDDはありません。
そこで、逆に「壊れてもいい」ようにする、ということの方が簡単ではないでしょうか?
同じデータを複数のHDDにコピーする。3個も用意すれば、さすがに同時に3つ全部壊れることは少ないでしょう。ちなみに、これ物理的に複数のHDDを用意することに意味があるので、大容量HDDでパーティションを分けるのは意味がないです。

 そして、次に今までの現像やデジタイズにあたる、データコピー&データ変換をいかに効率よくこなすか。これは、時間を節約することで、レンタル費をおさえたり、なにより人件費をおさえることに他なりません。

 では、速度を上げて行くにはどうするのか。
ここは、その撮影メディアがなにか、ということによって求められるスピードは変わってきます。

 現実問題、自分が関わる撮影の現場で大きな問題となっているのは、毎日のデータのバックアップや現像にかかる時間の長さです。作品に寄っては、撮影部さんや制作部さんが、撮影終了後の夜間に行い、ほとんど寝られずにやっていたり、逆に、コピーをかけて寝てしまって、コピーの欠損や異常終了で、翌朝メディアを消せない、なんてこともざらにあります。最悪、欠損に気づかずに、再撮影、もしくはシーンごとの欠番なども。

 個人的な提案としては、「撮影メディアの読み出せるスピード以上の速度で書き込みが出来るメディアを用意すること」ということかなと思います。
たとえば、AVCHDであれば、Class10のUHS 1のSDカードとは言っても、用意されるメディアとしては最大でも30MB/sくらいが多いのではないでしょうか。であれば、FireWire800接続の2.5インチHDDなどでも100MB/s近く出ますので問題ないかと。

 ですが、BMCCの2.5K RAWやARRI RAWなどの場合は、メディアは300MB/sから400MB/sは軽くでます。この場合、書き込み側のストレージも300MB/sから400MB/sは欲しくなります。
ここまで来ると、筐体の中に一個のHDDが入った製品では、接続がThunderboltであろうと、USB3.0だろうと、FireWire800だろうと110MB/sくらいしか出ませんので、データのバックアップのボトルネックとなります。

 大事なのは、接続規格だけではないのです。
外部ストレージで主に使われている接続規格の速度をMB/s表記でまとめると
USB2.0(60MB/s)
FireWire800(100MB/s)
eSATA(300MB/s)
USB3.0(500MB/s)
Thunderbolt2(2500MB/s)
こんな感じです。
 なら、300MB/s欲しいなら、eSATAで充分じゃん!とか、400MB/s欲しいならUSB3.0で充分じゃん!
となるのですが、そこが大きな穴。
これそのインターフェイス自体の理論値の速度です。

 ハードディスクのパッケージには、この速度が記載されていることが多いですが、
注釈で小さく「理論値です」みたいに断り書きがあることがほとんど。
なぜなら、「こんな速度絶対でない」から。

 理由としては簡単で、低価格、1万円前後で売られているハードディスクのほとんどは、上記のインタフェースをSATAに変換して、中にひとつだけHDDが入っている商品が多いです。そして、SATAは規格上、300MB/sが限界、その上、内蔵されているHDDは速くて7200回転のHDDが一発。出ても110MB/sくらいが限界。

「高速道路を原付で走ってたら意味ないよ」ってこと。

 では、速度を上げるためにはどうするか。
「高速道路をF1で走れば」いいわけですね。

 ということで、眠くなってきた長くなりそうなので、これは連載にしようw
この先のストレージの選び方、ということで、次回につづけようかなと。

2014/07/28 8:46追記
読み返して、撮影時のバックアップのためのHDDのお話よって大前提抜けてたので、とりあえずタイトルだけ補足w
どんだけ思いつきで書いているのだとwww

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