2014/07/29

【基礎概論】撮影時のストレージについて その3

 ほい、三回目。いやー順調に更新してますね。仕事がない余裕があるってことですね。今回はさらに長いよ!そして、商品紹介はAmazonとかのアフィリエイトにしますね。少しはお小遣い欲しいのよw

 さて、前回は、SSD 3式、RAID 0を3式、RAID 5を2式、のどれかを選択すれば、まーある程度安全とスピードを確保しできてハッピーじゃないかな、というところで終わりました。
 では、具体的にストレージを選択していくときに、どんなものがあって、どれぐらいの金額で、何を買えばいいのか、買ってはいけないのか、というところに踏み込んでみたいと思います。

 この一連のお話は、撮影現場、期間中の撮影済みのメディアを安全に保管するか、という趣旨でのストレージ概論です。編集やその後のアーカイブとしてのストレージにも一部重なる部分ですが、ちょっと違うところもありますので、その部分は、また改めてのお話にしようかなと思います。

 田巻がこれから撮影用のストレージを選ぶとして、まず気にすること。安全性の確保とスピードの確保はもちろんのことですが。
「容量」
「予算」
「電源」
の3つでしょうか。

 まず容量に関しては、どれだけ綿密に計算してもズレますので、一日の想定撮影量からデータ容量計算して、1.2〜1.5倍程度でいつも考えております。ちなみに、先日参加したドラマの撮影では
こんな感じの計算用のエクセルのシートを作って、毎日の撮影済みの容量を記入しながら、ストレージ購入を二回に分けて撮影期間中に残り必要量をある程度推測しながら容量を調整する、ということをやっておりました。
 45日ほどの長期間の案件でしたので出来たことですが、こういった資料があれば、次回別件にも役立つかなと。

 次に、予算。説明いらないですよね。いくら使えるかですw。今回は「再利用出来る、流用出来る」ものを主眼に起きます。これは、そのストレージにずっと撮影済みを保管し続けるのではなく、ある期間が経過したら、消去してしまうことを意味します。

 そして、最期に電源。実際に作業される方はお分かりだと思いますが、いわゆるバスパワー、ACアダプタがいらないタイプのストレージであれば、PCの電源さえ確保出来れば済む。最悪移動中にもコピーできたりと考えるのではないでしょうか。ロケ地に確実に100Vの電源が取れる環境が用意出来るのであれば、問題ありません。コピー作業がホテルなどで行われるのであればこれも気にしないですね。

 以上三点も考慮に入れていろいろと考えてみたいです。

 さて、前回、前々回で、ひとまずUSB3.0か、Thunderbolt接続のストレージを使おう。というところはほぼ確定ですね。MacユーザはThunderboltとUSB3.0のどちらか、Windowsの方はUSB3.0一択になるでしょうか。

 ここでひとつ要注意なのが、USB3.0は二種類あるんだよ。っていうこと。
 USBには、「UASP」と「非UASP」の二種類があると思ってください。このUASPはUSB Atached SCSI Protocolと言って簡単に言うと、ストレージを高速に使うための仕様、みたいなものです。Macであれば、10.8以降、Windowsは8以降が標準対応です。それ以前のOSでは別途ドライバーが必要だったり、USBチップ自体の問題でNGだったり。
 なにが違うのか、というと速度が全く違います。
○非UASPのUSB3.0機器では出ても200MB/s近辺
○UASP対応のモノでは、300MB/s〜400MB/s以上
 ただし、非UASPのものでも、箱には「USB3.0だから5Gbps!」とかうたって
(理論値です実効値は異なります)
ってちっちゃく書いてあるものが多いです。(てか、これ詐欺だよね、もはや。こいうのJAROにいっちゃえばいいんじゃね?藤岡隊長に蕎麦注文してないでさー)

 ということで、USB3.0を選ぶ場合は、UASP対応のモノを選びましょう。パッケージには書いてなくても、お店の人に聞いてみましょう。答えられないようなら、そんなお店で買っちゃダメです。

 はい、ということで、選ぶべきはThunderboltか、USB3.0(UASP)のストレージです。

 で、前回、お金があるならSSDで。と言いました。これは冗談ではなく、上に書いた電源を考慮に入れた場合、SSDであれば、1発で必要な速度が出ますので、これを3式用意してしまえば、電源があろうとなかろうと、問題なく使えるのです。そして、撮影終了後に時間をかけて構わない状況で、遅めのHDDに移す、なんてのも有りだと思うんです。
 
 ということで、予算ある。というときはSSDをUSB3.0(UASP)かThunderbolt接続で用意する。映像制作的には長い歴史の安心感なブランド(?)でこんなのもありますしね。ですが、予算を少しでも、とか、トラブル対応とかを考えると、ケースと中身のSSDを分けて考えるのもアリ。Thunderboltであれば、こういったケース。

USB3.0であれば、こんなのとかあります。

 中に入れるSSDは、有名どころを使えば、最近はそこまでは。
ちなみに、
このふたつだと、もうiPhoneみたいなサイズで1TBで300MB/sオーバーなSSDなんてものを簡単に作れないかとなと、こんどためしてみよーっと。

 ということで、次に単発HDD編。前回で必要スピードがどうの、って話からRAIDを組みましょうね。って話でしたが、撮影自体がAVCHDやXDCAM、5Dなどでそんなにスピードいらないよ、っていうなら、USB3.0やThunderboltの単発のHDDを3台とかでも問題ないと思います。そういった場合は、上記のケースに2.5インチのSATAのHDDなら最近は2TBとかありますので、そういったチョイスもありです。

 で、最期にRAID編。これが一番難しい。ちまたにはいろんなRAID製品が出ております。では、どんなのを選べばいいのか。というか、RAIDに関しては、本当に言いたいこと一杯あってもうこれだけで一回分になっちゃうくらい。

 気をつけるべきは、「電源」「中のHDD」そして「RAIDコントローラー」。はい、かなりめんどくなってきましたね。小難しいですよね。とりあえず、もろもろ考えて、個人的にオススメなのは
こいつに、HDDを別に買って入れて使う。
 なんでか?高いじゃん、もっと安いの紹介しろよって感じですが、気をつける3つの解説にうつります。

 まず電源、RAIDのみならず、HDD周りでの経験則ですが、トラブルとして多いのが、中身のHDD自体じゃなくて、ACアダプタの故障や本体の電源部分の故障でHDDが動かなくなっているという事例多いんです。気になる人は、買おうと思った製品名と電源、とかでぐーぐる先生に聞いてみよう。

 次に中のHDD。これもかなり重要。HDDって使い方を想定して設計しているものです。当たり前ですね。はい。ではその使い方には、Macに繋ぐ、とか、ビデオ編集に使う、とかそういった部分だけでなく、単発で使うか、何台以上まとめて筐体におさめて使うか、というものや、一日何時間くらい使うか、とかもあるんです。
 詳しくは、仲良しなサーバ屋さん(?)のMAXSERVEさんのブログにこんな記事がありますので、興味ある方はどうぞ。てか、多分MAXSERVEさんに相談すれば全部そろえてくれますw
 てことで、RAID用、NAS用のHDDを使っていることが重要。モデルとしては、これSeagateの「0S03357」とか。WDの「RED」シリーズとか。



 最後に、RAIDコントローラー。はい、一番分かりにくいとこですね。そんなパッケージには書いてないがな!そりゃそうです。なんで書いてないか。書けないくらい安くて性能悪いの使ってるから。ってのがほとんど。
 RAID 0の場合は、実はそこまでコントローラーは気にしなくていいです。なぜなら、RAID 0は復旧自体出来ないので、中のHDDが壊れたら、交換して、初期化、別のRAID 0から全部コピー、だけです。RAID 0だとここらがオススメ

 RAID 5の場合は、このコントローラーが相当肝心です。先日、HDDこみのLってとこの10万円くらいのRAID5にしかデータ入ってない状況で、故障、手動ではなんとならず、復旧業者に出して、復旧見積もり本体価格10倍・・・・って話聞きました。

 お金を出して解決出来るぐらいなら、復旧料金を支払えばよいでしょう。ですが、撮影現場はどんどん進んでいく。1週間近く入院させたり、出来ます?その間、RAID 5は一式になってしまいますよね?さらに危険。

 ということで、壊れないじゃなくて、壊れてもすぐ復旧出来る確率が高い製品にしませんか?先ほど紹介した
は、ARECAというメーカーのもので、このメーカーは3桁万円以上のRAID用のコントローラーとかも作って、放送局や巨大ポスプロ向け製品も作っているところ。さすがに同等クラスのコントローラーではないですが、かなり近いものを採用しています。ブラウザでコントローラーの状態を見ることも出来て、トラブル時の対応も楽。でもケースだけで10万すけどね。

 他にも、コントローラー的な部分でRAID組んでたのに復旧出来ないぜトラブルをDとかは聞きます。あげだしたら、キリがないですが、正直に言うと、ストレージがらみではLとかBとかDとかはおすすめ出来ないです。

 逆にすすめられるのは、ARECAとか、G-Technologyとか、Promiseとかかな。国産だとBIOSとかもいいかも。

「なんで高いのばかりすすめるんだよ!個人じゃ買えないよ!」という声が多いのは分かります。
 本当ですか?素材なくなっていいんですか?
自分は過去に、データロストで再撮影をした映画が有りました。200万円以上の出費でした。劇映画なので、再撮影できるだけ幸せだったと思います。ドキュメンタリーなら?ライブなら?取り直しなんてできないですよね。数十万円の出費で数百万円の出費を抑えられるんです。

 くどいようですが、昔ならフイルムやテープにあたるものです。そこにはお金かけましょうよ。
いいものを作れるならどんな安い機材でもいい。確かにそうですが、素材なくなったら何も作れませんよね。逆にそこが捻出出来ない現場や作品ならば、素材が消えてもしかたない、という考えで進めていくしかないのではないかなと思います。

 高いけど、確かに高いけど、そのかわり、撮影終わって、編集も済んだら、別のストレージに移してアーカイブして、消去できるんだから。次の作品でも使ったら、半額じゃん?みたいなね。

 と長く長くなってしまったところで、撮影用ストレージのお話はここまで。次回以降は、安全に保管するためのお話や、編集用や、アーカイブなどかなー。それともResolveにもどるか。あ、黒い鯛をお料理した話とかにしようかしら。

追記
あ、ここであげた製品は、あくまで例っすよ!選び方の方向性ってことですので。
もっと具体的なのは直接聞いてくださいませ。

1 件のコメント:

  1. はじめまして、いつもためになる情報ありがとうございます!
    今回もすごく勉強になりました。

    L社のRaidを使っていまして、本気でARC-5026に変えようかと思いました。そこでTamakiさまに質問なのですが、ARC-5026はUSB3.0でどの程度速度が出るのでしょうか?もしご存知だったら教えてください。
    旧Macproを使用しているのですが、ARC-5026に変えてしばらく延命するか、新型に変えてPegasus2にするか迷っています。(できれば旧型で頑張りたいw)

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