2011/04/23

【スタジオ紹介】Final Cut Proのポスプロ1「概念」

 なんかアクセス解析をみていると、「Final Cut Pro スタジオ」とか「Final Cut Pro ポスプロ」とかで検索されているようです。
 ということで、何回かにわたって、うちのスタジオでも紹介しましょうかね。今回は概念と出来ること、なぜ、の部分です。

 Final Cut Pro、言わずと知れた、Appleの映像の編集ソフトです。僕は1.2.5Jというバージョンから使い始めました。もう10年も前の話ですね。最近は映画、テレビ、PV、VP、映像という映像の世界で、価格や使い勝手その他もろもろの理由からものすごいシェアになってきています。NABにて新しいFinal Cu Pro Xの発表もあり、今年はなおさら話題の的でしょうね。

 さて、FCPが普及した大きな理由の一つに基本的にはMacとFCPの二つがあれば、オフラインはおろか放送、劇場公開のクオリティでの映像編集が出来るということだと思います。
 ですが、重要なのは、「技術的に可能だ」ということなんですね。ソフト自体の性能として可能である、ということと、本当に放送局に納品出来るものが作成出来る、というのは大きな違いがあります。前者はFCPの性能の問題。後者は「扱う人間が、きちんと技術を発揮し、納品物を作成できる」という成果物の問題です。
 テレビのディレクターさんたちや、低予算映画の監督さんたちの多くが、最終的な納品物の制作でとても困っていることが多いようです。

 いわゆるポスプロにもかなりのチェーン数のFCPが導入されるようになってきました。ですが、ポスプロの大多数はAVIDです。FCPでオフラインをしても、その後AVIDでオンラインをするにはEDL渡しでの再構成作業が必須です。多くのみなさんが、FCPのオフラインをAVIDに立ち上げ直すのに、1日から2日を使っているようです。

 もったいない。

 Final Cut Proだって、AJAのKONAシリーズやBlackmagicDesignのDeckLinkシリーズを搭載したMacProであれば、HDCAMなどの放送用のビデオデッキに映像を収録することができます。画質はProRes422 (HQ)を用いれば、実はAVIDのDN×HDコーデックにひけをとりません。というかHD-D5以上HDCAM-SR未満。HDCAMなんて汚いっすよ。ってかんじです。

 ではなぜ、そうしないのか。

 僕が思うのは、FCPエディターで放送用の納品規格を理解出来ている人、経験のある人が少ないのかな、ということです。マシンやソフトの問題ではないんですね。
 FCPはとても柔軟なソフトです。そのデメリットであり、メリットでもあることとして、FCPだけで完結することが多々ある。また1人の人間がディレクション、編集、完パケ、そして視聴することも多い。
 つまり「他者へ引き継ぐ」ということを理解せずに扱う場合が多い。ということなんですね。

 輝度は100IREを超えない。常に波形モニタを監視しなければいけない。1フレの白パカはゆるされない。HDのフィールドは奇数優先。HDシーケンスにSDを乗せるなら、上下左右をクロップして、フィールドの変換が必須。CMは毎分00フレームからスタート。捨てカットは3秒。番組はドロップフレーム。などなど放送番組として納品する場合の決まり事はいっぱいあります。
 
 うちの会社はそれをちゃんと知ったオペレーターが、FCPを操作して、FCPを操り、納品テープを作って行きます。

 ただそれだけなんですね。

 重要なのは「ソフトじゃない」ってことなんです。「知識」「経験」の二つだけなんです。
 確かにAVIDと比較して、FCPには弱いところはたくさんあります。ですが、それも「知識」と「経験」でカバー出来ることが多いんですね。

 また、できることが同じならなぜFCPなのか。それは「安い」から。最新のAVIDの箱より、基本的に設備投資が安いんです。だから料金も安く出来る。だから長い時間を試行錯誤にあてられるんです。

 「知識」と「経験」を使って、監督・ディレクターの作りたいもののお手伝いをする。それが僕の目指す新しいポスプロの形です。
 もともとディレクター、古くは自主映画の監督から業界に入った僕はとても編集時にうるさいです。提案型のエディターだと良く言われます。ですが、監督と編集が同じソフトを使うからこそ、提案出来ることも多いはず。
 
 安くてよく動く、FCPで、いい作品を作る。そして無駄な費用をクリエイティブに向ける。それが出来るスタジオが「Interceptor」です。

 さてさて、次はスタジオの機材構成や、ワークフローなどなどちゃんと説明しますね。の前に、FCP Xの雑感もまとめようかな。

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